M-1グランプリ1回戦を終えて

本日、私が所属するお笑いコンビ「タービランス」のM-1グランプリ1回戦でございました。結果から言うと落ちました。これで3年連続1回戦敗退です。

正直言いまして、今年のネタの台本が書けたときこれはイケるなと思ったんですよね。過去3年いろんなお笑いのコンテストに参加し負け続け、アマチュアがプロの芸人に対して正攻法で戦っても勝てないということを理解しました。そのため、

・キャラ付け

・衣装チェンジ

などのインパクトを重視して、なおかつストーリーが面白い台本を書かなければならないと。そこで編み出したキャラクターが「30歳過ぎて童貞のリアル魔法使い」。人生負け組ロードを突き進んできたからこそ浮かんだキャラ。そのリアル魔法使いが人生で初めて女性に告白したいというコント漫才

台本が書けたので、舞台経験豊富な相方に見てもらうことに。いつもだと修正が入るのですが、今回は「台本が完成している」という評価。これはきたんじゃないか。あとはうまく台本を演じれれば、M-1グランプリ1回戦突破できるんじゃないか!今までに感じたことのない自信が湧いてきました。

しかし、この自信が謎のプレッシャーとなって襲ってきます。明らかにいつもよりネタの覚えが悪い。台本を完璧に演じれれば1回戦受かるかもしれないと思えば思うほど、絶対にミスできないというプレッシャーが襲ってきました。

そのため、前日に超のつくような若手が出るライブで腕試しを行ったのですが、案の定噛んだりネタを飛ばす。これはまずいなと思ったのですが、救いはそのライブで

ウケたこと。

どのコンビもスーツでビシっと決めて漫才する中、32歳の大人がメルカリで買ったティンカーベルのような魔法使い(妖精に近い)のコスプレをして登場するのです。究極の出オチです。絶対に

何だこいつら!?

ってお客さんに思われるだろうという計算です。そもそも、Mー1グランプリ1回戦や超若手が出るライブなんて、皆さんが知っている芸人はまずいません。TVで見る芸人に比べ圧倒的につまらない芸人だらけです。そんなコンビが数十組も続いて、同じような衣装で、2分間つまらない漫才をするので、お客さんは飽きてネタの中で席を立ったり、スマホを堂々といじりだすというような空間です。なので、まずは漫才をちゃんと見てもらえるようにと考えた戦略がスーツからの脱却です。

前日のライブで、私が登場しただけでお客さんが笑ったことから、この戦略は間違っていないと確信しました。

 

そして、いよいよ本番当日。本番3時間前から新宿のカラオケでキッチリとネタ合わせをして、会場となる新宿シアターモリエールへ。

エントリー料2000円を払い、芸人だらけの狭い廊下に放置され、186席満席の客席を見て心臓が爆発しそうになりながらも、いざ本番へ。

 

デキは完璧でした。ノーミス。前日のライブで噛んだところも一切噛みませんでした。ただ、ウケはややウケ程度。私たちの前の組が「ゴールデンエイジ」という無名の芸人とはいえ、ナベプロの芸暦9年目という実力者。会場はドッカンドッカン笑いが起きてたので、それと比べると明らかにウケてはいなかったです。お客さんウケは気にしなくて良い!審査員にさえハマれば・・・と思っていましたが、あえなく敗退です。

 

実際に舞台に立つようになって3年目。ただのお笑いファンとしてライブに通っていたころは芸人に対して「オチが弱い」「ツッコミの間が悪い」などといろいろ言ってきましたが、舞台に立ってからはそんなことは言えなくなりました。

見るのと実際にやるのとは違うということをここまで痛感することになるとは。きっと私が今まで散々文句を言ってきたプロ野球選手や競馬の騎手も同じで、見てるほうは何とでも言えますがやってみないと分からないことだらけなんでしょうね。(野球選手と騎手は一生経験することはないと思いますが)

 

終わったばかりでこういうことを言うのも何なのですが、来年もキングオブコント・Mー1グランプリには挑戦するつもりです。プロの芸人のしんどさは十分に理解したし、2回戦に進出したからといって人生が変わるわけでもないですし、2000円払った上で2分喋っただけとは思えないほど異常な疲労感を味わうのですが、来年も挑戦したいです。

 

「タービランス2回戦進出です!」といわれた時の瞬間を心の高揚を感じるためだけに。